エビストについて書きます

8 beat story♪と8/planet!!+2_wEi

2_wEi 2nd Live Final 感想 物語とライブ、王と神

お久しぶりです。

8/pLanet!! 5th Liveの感想を書けていない状況ですが、全然考えがまとまっていないのでBlu-rayが発売されてから書くことになると思います。もしかするとお蔵入りになるかもしれません。

ただひとつ伝えたいのは衣装が可愛かったこと、『Darlin'』の花いちもんめ風、メリーゴーラウンド風の振付が世界一可愛かったということです。

2_wEi 2nd Finalの感想です。

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前置き

最初は人間や世界に対する憎悪、大切な人を失った悲しみだけを歌ってきた2_wEiの2人がライブを通して少しずつ人間を(人間も少なからず同じような苦しみを抱えながら生きていることを)理解し始め、「2_wEiの音楽に触れている時だけは前を向かせてやる」というメッセージを送った。それが約1年前の1st Live シリーズでした。

 

夏にはnano氏との対バン(Frontal Crash)がありました。メインストーリー第11~12章や2_wEi 第3章を経て人間とのコミュニケーションが深まってきました。自分たちの歌が人間に響いているという実感や、桜木ひなた達 8/pLanet!! が見せる可能性への興味が描かれた中での氏との対バン。重要な意味のあるライブでした。

初めてキャラクターではなく「中の人」野村麻衣子・森下来奈としてnano氏と一緒に、今を生きはじめたアルミとミントへのメッセージとして歌った『Heart 2 Heart』は印象深かった。

 

そして2nd Liveに直接繋がる2_wEi 第4章。ライブバトルを放棄してMotherの下を離れた2人が機能停止するかという窮地に陥り、しかし最後はこれまで2人が積み上げてきた人間からの尊敬や信頼によって再び歌う場所に戻っていくというストーリーでした。

Motherに反旗を翻したにも関わらず、開発元の研究員たちは2_wEiのために動いてライブを開催させた。もはやアンドロイドか人間か、Mother派かそうでないかという立場に関係なく2_wEiの音楽は支持され愛されるまでになったのです。

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第4章

2nd Liveの中でアルミが言うには、「2_wEiの歌が何か意味のあるものになる。人間の抱えている絶望を歌によって上書きし、普段出せないでいる声になってやる。人生を変えるきっかけにだってなるかもしれない」 ……ここにきて人間たちの背中を押す追い風になるという明確なメッセージを持って歌うまでになりました。

そして、以前よりも満たされた今があるとしても過去を捨てるのではなく肯定し、全てを抱えながら『Despair』のような曲を歌っていくことも表明しました。

『Past to Present』というタイトル通り、過去の全てをひっくるめて今を生きていくこと。そしてアルバム『Return Zer0;』発売を経て迎えた今回のライブは『Stand for the future』、まさに未来に向かっていくためのライブだったのでしょう。

Motherの写し身とされる新ユニット、Type-ID : B.A.Cが1月に登場。彼女たちは最早オールドタイプであり離反者となった2_wEiを始末するために参戦するのではないかという物騒な想像も頭を駆け巡り(Pious Bulletsのジャケットよ)、果たしてライブで何が起きるのか予想のつかないまま当日になりました。

 

さて、そのB.A.Cもやはり一貫してキャラクターとして振る舞い*1 、長尺のMC(演説)で彼女たちの理念を人間たちに説きました。8 beat story♪ というコンテンツのハイライトを選ぶならば確実に入れるべきワンシーンでしょう。

「その心を我らに委ねなさい」「最高の景色 約束しましょう」と救済を歌うB.A.Cと、弱さや苦しみを受け入れて人間とともに進もうとする2_wEiはまさに対照的で、2つのユニットの違いが明確に物語られました。

これはフィロソフィーの衝突であり、ただパフォーマンスを見せるだけでは終わらない、もっと違う意味が込められたエキサイティングなライブだったことをここで強調しておきたいです。

 

 

本編

ここからはセトリに沿いながら楽曲解釈めいたことや演出について書き留めていこうと思います。ライブレポートだとなぜか だ・である で書くほうがしっくり来るので文体が変わります。

 

開演前に恒例SotF社のアナウンスが入る。セキュリティスタッフがステージ上に登場するのもお馴染みになった。毎度ライブに参加していると彼らの顔も自然と覚えてしまったぐらいだが、アナウンスによれば彼らは移籍に従って今回で登場は最後になるという。寂しさと、これまでこのライブという場を作ってくれたことに感謝する温かい声が上がっていた。

『Security』の文字がレーザーでステージ上に描画されていたのは1st Finalだったか、運営サイドも観客側もこの演出を楽しんでいたと思うので、彼らが去っていくのは寂しいことだ。私もここに感謝の気持ちを表したい。移籍先がB.A.C運営で今後のワンマンで登場……しないですか。

ライブを支える裏方が讃えられることは数あれど、警備スタッフが物語上の1人の登場人物として扱われ名残を惜しまれる場面はさすがに見たことがない。

 

セトリ 

まさか全曲やるとは思わなかった……こういうチャンスはもうないかもしれない。

#1 MIЯROR
#2 Jailbreak
#3 Numb
#4 LOVE HATE
#5 Green Cat.
#6 basement
#7 Bite a bit
#8 Lost in data
#9 Pendulum
#10 MMIX
#11 Homeache
#12 Be alive
 
#13 Silent World (B.A.C)
#14 Pious Bullets (B.A.C)
 
#15 UNPLUG
#16 Heroic
#17 REGALIA
#18 Heart 2 Heart
#19 Pain - pain
 
    encore
#20 Despair
#21 Inheaven
#22 Start the War

 

第1部

#1 MIЯROR

アルバム1曲目のこれで開幕。ステージに掛かった白幕に2人のシルエットが浮かび、頭サビで幕が落とされる。8/pLanet!! 3rd Liveの見せ方を踏襲している。相対性理論(バンド)とか宮野真守さんのライブでも見たことがあるし、珍しくはないにせよやはりかっこいい演出だ。

アルミとミント、バンドとステージセットの姿が顕になる。建築用足場(イントレと呼ぶ)を組み合わせて壁面を覆った無骨で治安の悪そうなセットで、2_wEiのイメージに合う。そういえば2_wEiだとこういう規模が大きめのセットが組まれるのは初めてだと思う。

イントレ - Google 検索

『MIЯROR』は2人が過去と現在を受け入れ、迷いながらも未来に進みはじめようとする姿を見せる歌だ。

鏡に映るのは過去の自分か、リスナーか、あるいはどちらでもあるのだろう。”Wanna change myself” ”Oh, dear my friend, come with me.” といった歌詞は、ゲーム内やライブによってこれまでに築かれてきた2_wEiとファン=人間の関係の歴史や2人が伝えてきたメッセージを思わせるものだ。だからこそこの歌のシンガロングにも特別な意味があることを感じる。

アルバム『Return Zer0;』のジャケットは、ゼロの先に進もうとするアルミとミントが私達の手を取ろうとする構図に見えないだろうか。

 

#2 Jailbreak

ライブバトルを放棄し、まさに生みの親であるMotherを離れ自由を得ようというタイミングでリリースされたこの曲。“Raise your hands and raise the rebel fire to let them know we’re here”  扇動的かつ挑発的である。

エビスト・LINE オープンチャットでJailbreakリスニング班がなんとか歌詞を聞き取ろうとしたり、Motherを離れた後2人はどうなってしまうんだ…と謎の心配をしていた気がする。7月末から8月は特にストーリー展開と楽曲が絡み合う醍醐味というか、ドライブ感みたいなのがあった。

 

#3 Numb ~

Numb……こんな序盤で!?

『Numb』も比較的初期の曲になったが、新境地に至った中でこうした曲を歌う意味についてもストーリーの中で(前回:神田明神ホールで公開されたもの)言及されている。あるいは2人の現状が歌詞の内容に追いついたり第4章のシーンが思い浮かぶものもある(Green Cat. やHomeache)。

2人のストーリーと楽曲が並行して進んできたからこそでもあろう。その時点時点で込められる感情や解釈に変化があって面白い。歌う側も受け取る側も時間によって変化するのが音楽だが、このスピード感で変わっていく鮮やかさ。

  

#7 Bite a bit

ミンちゃん!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

ミンちゃんの小悪魔なパブリックイメージに沿ったキャラソンという感じの1曲だと思う。バンドでありつつめっちゃ踊りやすいのでアルバムの中でも随一の好きな曲。楽しい。男性声優なら宮野真守さんにセクシーかつキュートに歌ってほしい。

 

#9 Pendulum

人生の浮き沈みを振り子に喩えた1曲。エビストでは『TRICK or BLOOD』を提供している草野将史・長谷川澪奈コンビの制作。どちらもメロディがいいと思う。

 

#12 Be Alive

沙婆とは地獄であるという認識からスタートしているのがこのユニットの大きな特徴であり、それでもなんとか生き延びようと闘う姿勢を崩さないのが共感を呼ぶ点だろう(と私は思っている)。ライブハウスとはそんな苦しみを、誰かと強く繋がるのではないにせよ共有できる場なのだ…ということをこの曲を聴くと考えがちになってしまう。

 

#13 Silent World ~ #14 Pious Bullets

壮大にして神聖な響きのある『Silent World』のイントロとともにB.A.Cが登場。

それにしても "The end of the world, Dawn of the new world." である。いよいよ人間の音楽を根絶やしにするはずの奴らが現れたのだ。

とにかく演出演技衣装どれもキマりまくっており、「Motherの音楽によって人類に救済を与える聖職者」としてB.A.Cはその場にいた。あまりのかっ飛び具合に笑いがこみ上げてきた。こういうキャラ、ニチアサ特撮やプリキュアの敵にいるよね。

3人とも黒を基調とした聖職者風の衣装。田中美海asアモルはまさに教祖と言うべき長衣にマントを羽織り、楠木ともりasクゥエルはシスター、菅沼千紗asベルはショートパンツで活発な印象がある。暗殺部隊だろうか。

かなり長尺のMCはもはや演説と呼ぶべき内容だった。

クゥエル様曰く

「あなた達が私に今してほしいこと、言ってほしいことが手に取るようにわかる」

「あなた達は私に愛されるためにここにいて、私はあなた達を愛するためにここにいるのです。あなた達はただ私の愛を理解すればよいのです」

という内容。ゾクゾクします。

 

ベルたそはB.A.Cの音楽に同調する人間という意味での「友達」という言葉がキーワードだった。もし裏切れば彼女は背信者として無邪気かつ無慈悲に人間を葬る。

クゥエルとベルはセットで、愛と罰によって信者をコントロールするように設計されているのだろうか。

 

アモル様。救世主。

「初めまして……いや、お待たせ」かっこいいな。そうだ。我々人間には導きが必要だったのだ。

乱入者としての登場ではあるが、人間達には同じ音楽を楽しむ存在であることをアピールし「同志」と呼びながら、B.A.Cの音楽によって救済をもたらす意思をスピーチする。

巷には音楽が溢れ、楽曲もアーティストも使い捨てられ、激しい競争に人間は疲弊している。音楽だけではなくアプリゲームも、他の広範な人間の営み自体がそうなのだ。大切にしているものが明日存在しているという保証はなく、何を信じて生きるべきか誰も教えてはくれない。

B.A.Cは絶対的な力によってその争いに終止符を打ちMotherの下に平等な世界を実現する。

  

Pious Bullets。銃弾とは彼女たちの音楽そのものだ。Motherの求める新世界のために人間の音楽は犠牲とならねばならない。それが正しい姿なのだ。犠牲のその先で、人間達は心の平和を享受するだろう。 

B.A.Cを信仰しよう!B.A.C万歳!愚かしい人間の音楽は最早必要ないのだ!フロアからはアモル様に同調する声が聞かれた。

抑揚、テンポに宗教的な響きを感じる語りかけだった。つまり、カリスマである。早く映像化してもらって正確に書き起こしたい。素晴らしい演説でした、アモル様。

 

ゲーム中で語られるアモル様とは顔が少し違った感があった。MotherというAIの性質から見ても音楽が好きという言葉に偽りはないと思う。しかしストーリー中ではB.A.C以外の音楽は底が浅いと言い切る冷徹さを彼女は備えているし、ライブバトルで人間を蹂躙することになんの躊躇もない。このライブでのアモル様は人間に対してとても友好的に見えた。

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救済を実現するために「信者」を集める友好的な顔を使い分ける。そうした賢明さ(賢明!)があることに教祖としての魅力を感じる。 

 

第2部

#15 UNPLUG ~ #16 Heroic

2_wEiとバンドが帰ってくる。ドラムスの激しい特殊イントロから始まり「2_wEiは2_wEiの音楽をやるだけだ」とアルミが吼える。

現在の2_wEiの音楽とは、苦しさに寄り添い、何かを変えようとする人の後押しをしようとする音楽だ。本当にやりたいことは何か心に問いかけるその時、2_wEiの音楽は力になるだろうと。

"足りない心で描いた未来像" "いつの日にか思い出して消えない痛みも解き放てばいい"

かつてはただがむしゃらに、先の見えない暗闇を突き進もうとする2人のスタンスを描いた曲として解釈していたが、今はもっと明確でポジティブなビジョンがあるように聞こえる。

 

アイドル、アーティストのような人々はしばしば信仰のような感情の対象になる。音楽を聴いたりライブを見たりして救われた気持ちになる経験を持つ人は多いだろう。

でも何かのメッセージを発することはあれど、アーティスト自身が「信じる者に救済を与える」ことを掲げるのは稀だ。あるとすれば相当キワモノか、キャラ作りとしてやっていることだろう(当然エビストもキャラではある)。

ライブが終われば魔法は解け、平凡な日常をやり過ごす日々がまた始まる。しかし魔法の残滓は確かに存在する。その魔法の残滓を使って現実を変えていけるかは人々次第だ。あなた次第ということは厳しさを含んでいる。自分の意思で戦っていくことは常に困難を伴うのだ。

だが、2_wEiはこれまで現実の厳しさについて歌ってきて、あなた次第と突き放しながら、人間たちとともに未来へ歩いていこうとしている。それは優しさであり、心強さでもある。

 

B.A.Cは進むべき道をはっきりと指し示そうとする。心を委ねてB.A.Cについていけば素晴らしい未来が見られると。パフォーマンスに対する信仰のような感情をそのまま信仰として扱おうとしている。

我々現代人は宗教の力が弱い時代に生きている。物事のとらえ方や他者との向き合い方を示してくれる宗教を持たないのは自由な生き方でもあるが、価値判断を自身のみで行って生きるのは困難を伴う生き方でもある。個人主義の温度は冷たく、それに耐えうる強固な哲学を持つのは難しい。

 

『零がFAFに来てずっと抱き続けている疑問はこういうことだ、人間の存在には意味があるのか、ないのか。あるのならそれはなにか。ないというのなら、意味もなく生きていられるのはなぜか――それはきみの心理療法で治せるようなものではない、哲学の問題だ』

わたしに言わせれば、それは信仰の問題だ。意味もなく生きていられるのはなぜか、などという疑問が湧くだなんて、信仰を持たない人間が共通して陥る不幸な隘路といえるだろう。それは少佐も承知していたはずだが、にもかかわらずこれは哲学の問題だと言った。それは、信仰に関わるあらゆる問題は哲学的思考で乗り越えられると信じているからだ。それが彼の信仰と言ってもいい。

アンブロークンアロー 戦闘妖精・雪風神林長平

「おれのおやじは息子を大学へと」

「うちも同じだ」

「それで大学を出た。 “パパ 次は何を?” “就職でもしろ”」

「うちも同じ」

「25になってうちに電話した。 “パパ、次は何を?” “嫁さんでももらえ”」

ファイト・クラブ(監督:デヴィッド・フィンチャー 原作:チャック・パラニューク

 

 

「不幸な隘路」はそこかしこに存在する。

正しいと信じられるものに従い、その教えを守りながら生きたいと思ったことはないだろうか。宗教的な生き方を選ぶのは弱さではない。それは良い悪いではなく、人間にとって必要な縋るものだ。

音楽が世界に溢れすぎた混迷の時代に導きと救済を示そうとするB.A.Cは人間が無意識的に求めた存在であり、時に信仰めいたものを伴う音楽という営みの一面を切り取ったキャラクターでもある。音楽に対する「信仰」に生かされる人がいること、だがそれが時として毒になることも含めて描こうとしているのだろうか。

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2組が同じステージに立つことによって両者の性格の違いが明確になった。「参戦」によって得られたのはそういう体験だ。

3人が歌っている最中もアモル・クゥエル・ベルのイメージを表現するような振る舞いがはっきり見えたし、演説はどれもおそろしく聞き応えがあった。役者。

 

#17 REGALIA

バンドメンバーの特殊イントロからアルミのソロ曲へ。

「全ての傷跡が私を象ったのだ」……不屈の魂を持って闘う王たることを歌う、力強い曲だ。つまり、このライブには王と神がいた。その在り方、導き方は全く違うものだ。

闇から生まれた人間の王(アンドロイド)と世の理であろうとする神……ダークソウルなんだよな。ダークソウルをやれ。

 

#18 Heart 2 Heart ~ #19 Pain - pain

nano氏から歌詞提供を受け、対バンではアルミとミントに向けて歌われた『H2H』。「人間からもらった歌」という言及をされる。きっとあの歌も届いたのだ。

夜明け前の空、翼、崖の上からまさに翔ばんとする2人というジャケットも歌詞内容も前向きと思わせておいてその後のストーリーで毎度!絶望で〜す!とどん底に突き落としていくのは本当に性格が悪いシナリオだと思う。人の心がないシナリオだ。

その後続く第4章には「飛ぼうとした先は崖の底だった」という台詞、ガチャでは「夏を過ぎた時期のセミと翅をもがれた蝶の死骸」が描かれたイラスト…全部わかってやってるんだよな?

『Pain - pain』。のうみそまできんにくでできているみたいなきょくがだいすきなので、このきょくとHeroicがいちばんすきです。しんまなひろせんせい、ありがとうございます。

 

#20 Despair ~ #21 Inheaven ~ #22 Start The War

思えばこのアンコールの3曲にこのライブの全てが詰まっている。2_wEiは過去現在未来、全てを抱えて歌うのだ。

過去が今の私を形作る『Despair』。このライブで2_wEiのストーリーは一段落、ライブの告知も今回はなかった。それでも2_wEiは常に全力で、いつも今回が最後かもしれないという気概でやってきたと語った。きっと彼女たちはまたステージに戻ってくるだろう。

『Inheaven』サビのメロディとシンセのバッキングが最高、ドラマチックだ。"I know what I have to do in this darkened world" ………少し泣く。

第4章の中で負った傷、バーチャルな空間が見せる空を破壊して現実世界で生きようとする2人…とストーリーを強く反映したジャケットは、8/pLanet!!の『Precious Notes』と比較すると空の描き方によって両者の在り方が鮮明になる。

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『Start the War』。飛び跳ね、もみくちゃになりながら誰かと歌う。現実との闘いを続けるには、それはあまりにも小さなきっかけかもしれない。しかし、それで十分であることも真実だろう。

 

最後の曲が終わるとB.A.Cも含むキャストとバンドが戻ってくる。今度はキャラクターではなく担当声優としての姿で挨拶をした。これだけ世界観を徹底したライブ空間を作り全22曲を披露した彼女たちを讃えたい。自然とありがとうという叫びが出る。

 

客が掃けていく中、セキュリティのお兄さんが握手を求められていた。そして聞けばB.A.CのTシャツを着ている物販スタッフの女性はサイドストーリーで「入信」した女の子のキャストを担当している人だったとか。詳しく調べていないがそこまで現実が物語に侵食されているのはとても愉快だと思った。

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おわりに

何度も言ってきたことではあるが、2_wEiのライブは没入感の高いアトラクションだ。シリアスなドラマを持ったキャラクターをシリアスな演出で見せる。だからこそキャラクターの魅力や作品としてのメッセージがより効果的に伝わるし、楽しめる。

エビストのライブイベントは現状10月までない状況、2_wEiも一段落というところだが、また虚構を貫き通したライブを見られることを願う。

生きてたら一歩前に進んでるってことなんだからよ。

*1:既にご存知でしょうが、2_wEiのライブはその場自体が物語の舞台となる、フィクション性が高いライブ、あるいはアトラクションとして演出されています。観客を物語の中の目撃者、登場人物(モブ)として巻き込む構造は、単に鑑賞するライブとは異なる没入感を生みます。フロアで声を上げるとき、ステージ上に顕現するキャラクターの言葉に聞き入るとき、私たちは確かに1人の登場人物になるのです。